2021年5月

人は人の輪の中で育つ。出会いと経験 ・・・パート1

みつばちっこ

みつばちでは、開園時から「どの子も育つ」と、全ての子どもの育つ権利・子ども自身の願いを大切に、と、あたりまえの暮らしの中に、ケアの必要な子どもたち(障がい児保育、と言われる)が、いつも仲間にいます。 社会の中で、ひとりひとりの個性が重なり合いながらみんなの暮らしが営まれているのと、おなじ。

そんな中で、保育として専門性を皆で学び合い、その子どもたちを囲む各機関とも連携しながら、私たちも子どもと一緒に学び合い育ちあいながらの障がい児保育です。

 

 

 

そんな中、今年度「医療的ケア」の必要なHくんが入園。お父さんとお母さん、Hくんに関わる家族皆さんや、他にも今まで関わってこられたたくさんの皆さんの、Hくんへの思いや意志を繋いで・・・何よりも、Hくん自身が生き生きと豊かに暮らしていけることを願って&実現していこう!と、保育が始まっています。

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受け入れにあたっては、行政とのやりとり・書類、連携機関とのカンファレンス、看護師の配置や、保育園で医療的ケア児の受け入れをする意味、その保育の実現の準備、方法の具体化、など、さまざまな準備検討を行いました。

たくさんの皆さんのご協力や学びを得ながら、まずは、母子通園保育がスタート。

 

初日の2時間の過ごし。保育園のホールの中を行きたいままに、四つ這い、伝い歩き、トコトコ歩きで散策のHくん。

 

 

 

経管栄養中は、みつばちっこが次々とやってきました。初めて出会う姿に「何してんの?」「なんでお顔にそんなんついてんの?」「これ、何?」などなど、次々質問いっぱい。

“Hくんな、だんだんご飯お口から食べる練習中やねん。今は、こんなしてお鼻からミルクが、みんなのご飯の代わりやねんで。ずーっと、ここ通ってお腹の中に入って、お腹いっぱいにならはんねん““いただきま〜す“などなど、そのままを、くる子、くる子に説明お話し。

 

じーっと見ながら「これはあったかいの?」しばらくすると、イルリガートルボトルの中のミルクが減ってきているのに気づき「ゴハンいっぱい食べはったな〜」「おなかいっぱいならはった?」と。
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ありのままを、全く違和感なく、素直に真っ直ぐの「みつばちっこ」

その子の姿を、ストレートにそのまま捉え、そこから、それも丸ごとHくんなんだ、と分かると、ごくごく普通。

最初「チューブに触ったり引っ張ったり大丈夫かな?興味出るもんねー」と、思っていましたが、それも、どの子もひととおり、質問しながら(すっごくイッパイですが!)じっくり見て眺めて(これもながーいこと!)、「そうなんやー」と理解すると、もう、さらっと大丈夫!やっぱり、丸ごとを受け止めている。

 

どの子も、どの子も、のそんな様子に、今までもたくさんの人と出会い、どの人もどんな人との出会いや経験も大切にしながら、の営みが確かに重なっているんだな。と。

 

 

 

 

 

1時間の長い食事中。自宅では、部屋で自由に動きながらだったので、初日は、そんなしながら様子を見て。あちこち動きながらのHくん。

次の日は、ホールに子どもたちが大勢だったこともあり、安全環境設定を考えて乳児個室で、してみたのですが、本人は、部屋を出たくって「アケテ〜!」と、戸を叩きます。

 

やっぱり、みんなの中で!その中での安全確保を。そして、Hくん自身もお友達の食べる姿を感じながらが一番必要。その中で、食事(注入中)のときは、こんなしていすに座ることも初めて。じわじわと少しの時間から、彼がみんなのところに興味が入った時に、なんとな〜く椅子を差し出して、を繰り返しながらしてみましたよ。

 

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そして、食べ物に手が自ら伸びた!!触ってみた!

 

 

そんなこんなで、毎日、だんだん、お母さんとも離れてみたり、保育時間も体調を見ながら少しづつ伸ばしてきました。

 

Hくんが行きたいまま+より発達を促す経験を、と。ちょうど、裏窓のところで遊んでいたので、私たちが裸足で先に出て、遊んでみました。そんな様子に、かえでのSくんがずーっと一緒にいてくれ・・初めて、素足で地面を降りたよ!最初は足裏を探りながら・・・だんだん、確かめ確かめ・・進んで。この戸を開けたり閉じたりがお気に入り!ながーいこと繰り返し遊ぶ!

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もう、今は、全く躊躇することなく、むしろ、ジブンで出ていく!

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思いのままなので、出たり入ったり。ほっこり、ホールで積み木遊び。オープンホールで過ごす中、わらわらと、お友達がごく自然にやってきては遊び出します。

こうして、Hくんの存在をみんなが一人、一人、と感じる。

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裏口で遊びながら、だんだん外へ出て、てくてく散歩。正門までの一周をたっぷりゆーっくりと。地面の影・おひさまで暖かいところ。時にある側溝の穴。そんな、ひとつひとつの感覚全てを、足裏から脳へと、確かに感じながら、変化のあるところで、立ち止まり、確かめるHくんの姿。(砂っぽいところになると、足を上げて&座って「イヤ〜」と、しっかりアピールも!)

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この日、初めてお昼寝ができましたよ。たっぷり遊んで、食事を終え、身体をマッサージ、金魚体操や股関節をほぐしながら、だんだん、身体の脱力へ。

生活リズムの安定や、毎日の金魚体操などを大切にしながら、心地よい脳へと育んで・・。

 

 

 

初めてのお昼寝で、酸素吸入器をこの日初めて使いました。またまた、みつばちっこ、質問いっぱい。「寝てはるときに、息がスースーってしやすいように、ここから、スーって入ってくんねん」この説明をしているとき、聞きながら、自分で確かめるように自分で息を大きく吸って吐いて・・「こんなして??」と、Eくんでしたよ。

そして、Hくんの隣には・・この日一緒にお外までずーっと一緒にいてくれたSくんが。自分のお布団をHくんの横に並べて「ここでねるわー」と。

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何日か重ねる中で、母子通園もだんだん終え、段階を経て、今はお母さんとバイバイして、夕方までの過ごし。

だんだん、みんながいるテラス側にも自分で遊びに出るようになりました。そして、テラスから砂ざらざらが少しある外へ、自分から、一歩足がでた!!すごいな!

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散歩から帰ってきた、お友達も次々、いつも声をかけてくるよ!

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そして、この日は、裏口から一周回って、この一番ザラザラ砂の足元へ!

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保育園の中では、看護師のとかちゃん、私(園長)、主任の梅ちゃんから出会い、一緒の過ごしをスタートしましたが、子どもと同様、みつばちの大人たちは、みんなが次々にHちゃんに関りにやってきます!5月から継続して一緒に過ごしている岡ちゃんや、給食室の西山くん、どんぐりさんで一緒にご飯を食べるかよちゃん。そして、ここからも、どんどん、保育園中の先生たちと関わり出会い、の毎日。

 

 

 

 

「長いな〜。ごぼう」触ってみたよ!

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大根も!あっ、たかなわちゃんに、声かけてもらってタッチ!

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園全体の中で、皆と関わりながら育っていく。職員みなもHくんの経過や今の姿、毎日、毎日の嬉しい変化や、こんな経験を重ねていきたい。と、発達とケアの保障のために、こんなことあんなこと、と、その日のHくんの姿から、一緒に考えては話し、の毎日ですよ。

 

「食べる」ことへの興味、経験の前段をたっぷり踏んでいきたいと、Hくんがカウンターへやってくると、逃さず、あれこれと。

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今までは、ただ飲ませてもらっていたお茶も、だんだん、ジブンの手が同時に出て、コップに手を添えるようになってきました!

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そして、この日は、お茶を混ぜ混ぜしながら、初めてスプーンで遊ぶ。スプーンでお茶をすくい、口に近づけるとまだ「イヤ」と払いのけますが、持って遊ぶのは大丈夫!!

 

ちなみに、Hくんは水分を一定量しか摂取できません。

「ノム(飲む)!ノム〜!」と、もっとお茶が欲しくて泣くHくんをみて、私たちが「そうやな〜。欲しいな〜」と言いながらも、おしまいやねん・・と、しているとき、かえでのAくんが、急いで入れてきたかのコップに入ったお茶をそっと、渡しにきてくれたのです。

その、思い・・・。3歳の子どもが、「お茶欲しいっ」と訴えるお友達の姿にすぐさま応えようと、動いてくれた一杯のお茶。

彼の思いを受けながら、少しだけ測って、そのお茶を入れ「いっぱいは、Hちゃん飲んだらしんどくなるし、少し減らしていい?」と、いただきました。しっかり見届けて「もう大丈夫」といったふうにまた遊びにいったAくんでした。

こんなやりとりから、関わるお友達がだんだん、またHくんの姿をひとつ知っていってくれています。

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この日は、みーちゃんが給食のおひつを運んでいる最中に、岡ちゃん「あっ!いいもん持ったはるで〜!」と。

おひつの蓋を開けると・・ホカホカ炊き立ての、おいし〜いゆげが立ち上り!においやあったかさ、白いごはんに、Hくんの瞳!!五感に響く瞬間!

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大きいおひつを前に、スプーンでご飯をすくって私が食べてみたよ。そして、Hちゃん、スプーンを自ら持って・・ご飯をツンツンしながら・・・(ご飯は入ってませんが)スプーンを初めて、自ら口に持っていった!

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そして、次の日!どんぐりさんと一緒に、鯉のぼりの寿司桶でのご馳走を、Hちゃん用に前にして。Hくん自身がしっかり明確に捉えやすい、環境も考えながらも合わせてです。

そんな中、経管栄養中に、みんなと一緒にゆったり座っての食事時間もずいぶん安定してきましたよ。

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自分の意志がしっかりしているHくん。だからこそ、そこを大切に、まずは、たべることへの興味、そして、離乳食への移行への経過を考え中です。

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この日は、野いちご取りから帰ってきたみつばちっこが、「みてみて〜」と、帰ってきました。もちろん、Hくんのところにも次々と!

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大きなプリプリいちごを、ジブンでスプーンを持って、ツンツン。

そして、スプーンに乗せた、いちごを大人たちがパクッとたべる。それを見る。の繰り返しの中で、そのタイミングに合わせて、Hちゃんの口が空いて閉じた!

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毎日、毎日が、人の輪の中で、出会い・経験・いっぱい!そんな中で育つ、みつばちっこです!