年長、もみのきさんの営み・・・Part2
2022年9月11日
運動会にむかう日々。仲間と共に深く豊かな出来事がいっぱい。特にこの1週間の深まりは本当に言葉では使えきれない数々の営み・瞬間を子どもたち自身が皆で生み出す。
逆上がり、本当にコツコツ一生懸命挑戦し続けたMくん。
「もういけそう〜!すっごい足ここまで上がってる!」と。本人も仲間もみーんながいよいよや!と!本当に夕方のお迎え時間まで、鉄棒を本園に持って帰ってきてMくんの粘り強く真っ直ぐな挑戦が長い間続いて・・・(この写真、以前のブログでも紹介しましたね。あれから・・・)
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そして・・とうとう「回れた〜!やった〜!」みんなでバンザ〜イ!
Mくんも誇らしげ!仲間も自分のことのように次々「Mがな、逆上がり回れはったんやで!見て!見て!」と、やってくる!
そして・・午後の「通し」で、一人ずつの時。
単発でするのとはまた違い、「通し」では、みんなの中で、より自分と向き合い、丸太渡り、高台跳び・跳び箱・逆上がり・と、集中力や持続力を、気持ちも身体も維持させてが必要になってきます。
仲間も、いよいよ・・と見守る中・・・クルン!「やった〜!!」
逆上がり、もうすでに回れる子たちは連続回りにも、自然と挑戦して、何人かはクルンクルン回っていました。が、勢いだけになって雑になってきたりも・・。
「連続回りも素敵やけど、ゆーっくり逆上がりって、結構むづかしいんよ〜。腕の力とかお腹の力とかがグイッといるねん。でもな、それができたら、もう、高〜いどんな鉄棒でもグルングルンヘッチャラで回れるようになるんやで〜」と、おしゃべりしてみました。
「そうなん?!」と、更なる自分に又々挑戦し出した何人か。
その時、Mちゃんが「見て見て!こんなん?」と・・・
「さっか上がり〜」とリズムをとる「り」の、この写真の立ち位置で一度緩やかに止まり、ここから本当に身体を引き上げてぐい〜〜っと逆上がりの姿!
これはすごいぞ〜!こちらが、思っていた以上にさらに!さらに!生み出す姿が。
みんな〜みて!みて!と。他の年長さんも集まって、見入る!
「ほんまや!“りー“のとこで回ってはる!」と。「やってみたい!」
この回り方。「り〜回り」となり、又々、更なる自分に挑戦し出したもみの木さんでしたよ。
何度か挑戦しながら・・・「り〜回り、できた〜!」「一緒にしよっか!」
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そして、もうひとつ。この日、連続周りをしたくって、ずっとずっと挑戦しつづけていたAちゃんが・・・。思いっきりの勇気を出して、とうとうクルン!!
これもまた、仲間が駆け寄ってきて、自分のことのように大喜び!
全員が紹介しきれないのが残念なくらい、19人それぞれ皆が、このような、それぞれの「やってみたい!」更なる自分への挑戦や模索、向き合い、そして仲間との営み、喜び、自信を、深く実感する日々です。
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そして、この日も「もみのきも、運動会(通し)したい〜!なあなあ、はよ、しよっ!」とAちゃん。
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高台跳び。しなやかに跳ぶ身体の使いを練習中。Sくん。よい意味で、しっかり立ち止まって考える姿。そこから、次は、えいっとそれを実現していくことに、ドキドキの段階です。
そんな、じっくり向き合うSくんの姿に、仲間の声が思わず響く!
同じように高台飛び、苦労しているMちゃんが「S!大丈夫!上にエイって飛んでみたらええねん!」と、空を指さす!
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「いちに〜のさ〜ん!って、ひざこうして曲げたら大丈夫やでっ!」と、身振り手振りでMSちゃん。他にもみんなの励ましいっぱいの中、Sくんこのあと、勇気を出して、えいっ!と、きれ〜いに飛びましたよ!
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跳び箱の5段が、跳べる・跳べない・があったりのAちゃん。
「だんだんでだいじょうぶよ」の中、でも、どうしても跳びたい!もう、数えきれないくらい、息を切らしながらも強い瞳で挑戦し続ける!
そんな中、何回か最後だけおしりがスレスレでほぼ跳べてて「いい感じよ〜!すご〜い」そんな声をかけて「今日できなくてもいいんよ。必ず大丈夫よ。次、丸太する?」と声をかけると・・・
でも、本人は納得いかない。悔しさがいっぱい。“前、跳べたから絶対跳びたい!“
その場合から絶対離れず、繰り返し跳び箱を見つめて走り出すのです。
その諦めない思い。粘り強さ。自分を信じ切れる確信!
ひとりひとりの仲間の営みを、真っ直ぐ見つめる「瞳」
それぞれが、同じような思いや経験や、また、仲間の姿から私も!僕も!と、重ねてきた日々。
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長い時間を重ねながら・・一息ついて、「“思いだし“ “だんだん“も大事なんよ。大丈夫!4段で思い出ししてみたら?絶対大丈夫!」と声をかけました。
思うように行かない時もある。ある。そんな経験も大切。
そんな時こそ、Aちゃんの強い気持ちと折れない心、確信が大きな支えになります。
しなやかに揺れるいっぱいの深い経験は、いざという時、ポキッと折れるのでなく、揺れ幅をしなやかに獲得した土台で乗り越えたり、切り替えたり、生み出す糧になっていくのですね。
そして・・4段で「思い出し跳び」いっぱいして・・・
とうとう、自分の満足いくスキッとした跳び方で「5段飛べた!!」
ずっと、真剣だった表情が、思わず緩み「笑顔!」挑戦しきりやり切った思い、あふれる瞬間
高台跳び。ドキドキで上で立ち止まり・・思わず涙が、のMちゃん。
みんなが声かけてくれる中・・「高いの、跳びたいって思ってるのに・・怖くなって跳べへんねん・・・・」と、思わず声にしての涙でした。
言葉にして向き合う大切な時間。。
“ほんまやな〜。M、跳びたいんやな〜。わかるよ!大丈夫。そういう子は必ず跳べる。
今日出きなくても大丈夫。段々でいいよ。思い出し、してみる?Aちゃんも、そんなんしてはっったしな〜」
ここからは、涙もグイッと止まり、一段低い台で、身体の使い方も合わせて繰り返し練習。
大きな声がお腹のそこからしっかり出て、この切り替えと向き合い。。本当に素晴らしい。
そして・・・この日の最後、自分で「高いの跳ぶ!」と決めて、最後、なんと、えいっと跳び切ったMちゃん!仲間も「Mすご〜い!」
そんな深い一日。この日、2人のお母さんが保育参加でした。19人の姿を我が子のように見つめて下さりながら・・・。仲間との「運動会・通し」をやり切った子どもたちの前で「お母ちゃん、もみの木さんどうやった?」と、聞いてみました。
お母ちゃんが「みんな、ほんまに頑張ってて一生懸命ですてきやな〜って思ったよ!」「高台とか跳び箱に向かってるみんなの顔が、どの子も全員とっても真剣っていうか、ほんまにいい顔しててすてきやった!」などと、伝えてくれました。
みんな、嬉しそう!
「お母ちゃんがな、“高台とかの、みんなのお顔がとってもすてきやったよ。ていうてくれはったなー。うれしいな〜。ほんま、素敵やったよ!
それって、なんで、みんなの“お顔“がすてきに見えたんと思う?お顔がな“かわいいな〜“とか”かっこいいな〜“とかとは違うねん。
きっと、みんなの「心」が本当にすてきやから、お顔もそんな風に見えたんやで。」
と、私が話したその時・・・
Fくんが、いっぱいの笑顔で「それって♪根をはれ〜胸はれ〜眼をみはれ〜♪のことやなっ!」と!
その言葉に、思わず担任も私も涙が溢れました。
実は、8月の終わり頃、運動会が具体的に始まり出し、運動会で歌う♪今日がきた♪の歌詞の1番の意味を年長さんに話したことがありました。(この1回きりです)
今日がきた 今日がきた とっても大事な今日がきた
今日がきた 今日がきた とっても大事な今日がきた
昨日は知らないことだって 今日はきっとよくわかる
風の子 竹の子 地球の子
根をはれ 胸はれ 眼をみはれ
「昨日は知らないことだって、今日はようわかったわ〜ってこと、ある?」と尋ねると、これは実感で“昨日とか逆上がりとかできひんかったけど、いっぱい頑張ってたらようわかって回れたことある〜“など、次々つながる!
そして・・・次に・・
「根を張れ」というのは、大きな木にも見えない根っこがあって、見えないけど、「大きくなるぞ〜」って自分でぐんぐん一生懸命根っこを伸ばして、お水をぐいぐい吸い上げたり、栄養たっぷり吸い上げたりしてると、見えるとこの木がグンと大きく太く強〜くなったり、そよそよとやさし〜くなって、ビクともしんようになるねん。桑の木みたいにね。
「胸はれ」は、身体の格好だけで胸張ってるのとは違ってな。
“だんだんで大丈夫“とか”一生懸命自分のできることを精一杯してたり“とか”失敗しても諦めんと挑戦してたり“とか“うまく行かへん時とかも、こんな時もあるっか〜。“とか“お友達にも力貸してあげたり“とか“助けてもらったり“とか、あるやろ。 そんなんい〜っぱいしてたら、だんだん、心が、優しく強くなってきてな、『そんな私って、俺って、仲間って、なんかすてき!大好き!』ってなってくるねんで〜。そのこと!
「眼をみはれ」は、そんなして、根をはれ、胸はれ、してたら、「あ〜!ちょっとうまく行かへんな〜」とか「なんか困ったな〜。しんどいな〜。」「ちょっとドキドキするな〜」って時も、「あ〜もうや〜めた」って下向いてしょんぼりするんと違って、グイッとお目目を開いて、しっかり前見たら、なんか、勇気とか力がばっちり湧いてくんねんで。
(要約ですが)こんな話を年長さんにしました。
Fくん、この数週間、本当に苦労も向き合いも重ねながら・・形や答えでない「実感」を一つ一つ仲間の中で心根で営み始めた日々でした。そんな中、見えないけど、何よりも確かな揺らがない「自分」を仲間の中で見出しはじめたのでしょう!
自分の営み。仲間の姿。そしてお母さんたちの声、想いを、丸ごと心根で重ね、この歌と結びついたのでしょう。。本当に、子どもたちの心根は深く、尊く、真っ直ぐ。
年長の営みは「生き方を手渡す営み」。それは、私たち大人が手渡すだけでなく、そこから子どもたちに手渡される「営み」でもあります。
そして、毎日、こんなふうに私たち大人は又々、学び続ける。
みつばち保育園は「こどもも大人も育ち合う」保育園。。
この日、年長さんに思いを手渡して下さった、お母ちゃん。
子どもの真っ直ぐな姿に共感!!そして、お母ちゃんも、高台跳びに挑戦!!ですよ!
リレーも!!楽しみ!
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♪根を張れ〜 胸張れ〜 眼をみはれ〜♪
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